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Poems

風の通る道−冷たい街で−


風の通る道が、突き抜けていく。
吹き抜けるのは、冷たく肌を刺す乾いた風。
季節を運ぶものとされる風も、
この街ではただ、埃と人の雑踏を巻き上げながら吹き抜けるだけ。
季節を感じさせるものなど、この街の中には何一つとてない。
ただ風は、そこを吹き抜けるのみ。


そんな街のただ中を歩く女がいる。
何の季節をも映す事のない、この街を歩く女が。

そこにいるのは、如何なる感情をも表さない人々。
この女もまた、その例に漏れず
能面でも被ったかのごとく表情一つ変えない。


女は自分をあざ笑うかのように、
ヒールでアスファルトを蹴った。

何時から自分はこんな風になってしまったのか。
何処で道を誤ったのか。

考えても仕方のない事、と
女はそっとひとりごちた。


そして女はいつものように、
ただ一人街の雑踏の中へと消えていった


by Mizuho Aikawa/ 2002, 2009